2024年7月10日水曜日

夏のコンサート直前、高畠先生、スペシャルインタビュー

QJYDコレギウム・ムジクム「夏のコンサート2024を迎えるにあたって、指揮の高畠先生にお話を伺います。今回、バッハ、ヘンデル、ハイドンに加えて、ストラデッラという作曲家の曲を取り上げますが、これはどんな曲なのでしょうか。

 

A: ストラデッラはコレルリとほぼ同時代のイタリアの作曲家で コレルリより10歳ぐらい年上です。私も名前は知っていましたが、演奏するのは初めての作曲家です。音楽史の上では合奏協奏曲の生みの親という位置付けですが、とにかく女癖が悪く、何回も浮気がバレては移住し、その相手に雇われた暗殺者には狙われ辛くも逃げおおせ、それでも懲りずにまた教え子に手を出し遂にはジェノバの広場で刺殺されるというとんでもない人だったようです(笑)。今回演奏するのは「クリスマスカンタータ」の中のsinfoniaでやはり合奏協奏曲のスタイルがとられています。本人は無茶苦茶な人だったようですが宗教曲に傑作が多数あり(人格と作曲が一致しないのは後のモーツァルトが良い例)今回の曲も主の誕生への感謝と喜びが感じられる素敵な曲です。

 

Q:ハイドンの交響曲第84番は副題がついていないのですね。

 

A:実はこの曲はヨーロッパではIn nomine Domini(主の名の下に)の愛称で呼ばれる事もあるそうです。ハイドンの交響曲に付けられた副題は、ほとんどが後からつけられたいわば「ニックネーム」で意味不明のものも多数あります(校長先生、熊、哲学者、等)。この曲の愛称も由来は不明ですが、今日は教会で演奏させて頂くのでぴったりでした。

 

Q:ヘンデルの「風よ、静まれ」は神への愛の歌でしょうか。

 

A私の拙訳をご覧いただけるとお分かりいただけると思いますが2曲目のアリアはイエス様への愛の呼びかけです。「transfige me」は直訳すると「私を刺し貫いて下さい」ですが色々な意味合いがある用に思えます。とりあえず「私の心を震わせて下さい」と訳しましたが十字架に架けられたイエス様のことが暗示させられるような気もします。最初の「風よ、静まれ」もなぜそう呼びかけているのか状況の説明はありません。しかしシンフォニアの途中で突然ソプラノが割り込むように入ってくるその構成はドラマティックで効果は絶大です。まるでオペラの1場面のようですね。「風」は何を表しているのか?私個人では(バッハのカンタータではお馴染みの)世間の中傷、災難、苦難などの象徴ではないかと思っています。

 

QJYDコレギウム・ムジクムでは、毎回バッハのカンタータを演奏していますが、今回の第99番の魅力はどのように感じていらっしゃいますか。

 

A:何といっても1曲目のコラール合唱の美しさですね。今回東京フリューゲルの皆さんや旧JYDのメンバーに合唱で加わってもらえたので、その魅力がより伝わると思います。勿論、今回も演奏していただける、芸大の優秀な歌い手さんの歌声もご堪能いただけるはずです。また3曲目アリアのフルートの方の超絶技巧もどうぞご注目ください。

 

Q:最後に、コンサートにいらっしゃる方へのメッセージをお願いします。

 

Aご来場の皆様にはコンサートホールの演奏では得ることのできない素晴らしい響き、そしてスポットライトではなく自然の光に照らされた空間の中での音楽をお楽しみいただければ幸いです。

 私たちはこのように教会で演奏させて頂くことが何よりの喜びとして演奏を続けています。毎回快く演奏会をさせていただいている教会には心より御礼申し上げます。

 

JYDコレギウム・ムジクムはバッハのカンタータなどの宗教音楽を中心に、教会を主な演奏会場として活動する小さな小さな演奏団体です。

夏のコンサート2025ありがとうございました

 JYD・コレギウムムジクム夏のコンサート2025 無事、開催することができました。 たくさんの方のご来場、ありがとうございました。 次回演奏会が決まりましたら、このブログで案内させていただきます。 引き続き、よろしくお願いいたします。